• 鈴木ひでひと

月も二桁、日も二桁

10月になりましてもまだまだ日中は暑い日が続いています。朝晩との温度差があり体調も崩れがちですが、皆様いかがお過ごしでしょうか?緊急事態宣言も解除になって2週間ほど。急激に人の動きが変わるわけではないでしょうけれど、気持ちの面では幾分、明るく考えられるようにはなってきたように思います。お越しくださいましてありがとうございます。ひでひとです。なんとか毎日がんばっています。


前回のブログでも書きましたが、月が二桁、つまり9月から10月になりますってぇと何かと慌ただしく感じてしまいます。暮れに向かって忘年会、おせち料理の段取りや素材などの

在庫管理と発注準備などで、市場関係からも逐一情報収集し始めます。でもこのコロナ禍で、年末がどうなるかは未知数なのですが。


そんな中、アタクシ、筆を持ってみました。作品ではありませんがお客様へのご案内用ですね。店内用のA4やA3ならパソコンで作りますが、それ以上になるとそもそもプリンターも

ありません。で、紙を出して墨と筆、硯、文鎮などを支度するわけですな。ちなみに文鎮を除いた筆、紙。墨、硯を文房四宝、または文友四宝といい文人墨客は珍重するわけです。

ご存じの方には今更ですが、アタクシ15年ほど師匠に書を教わっていました。お習字ではないですよ、書道ってヤツですな。で、磐田市や静岡県の芸術祭に出品していました。

もう師匠の下を離れて、芸術祭にも出さなくなって5~6年?くらい経ちますが、店内用に書くことがあります。おおきな物は筆書きした方が早いというのもありますね。




ただ、これは作品ではありません。崩しもそんなに入れないで見やすさを重視しています。また墨量の多少をなくして、滲みやかすれはあえて強調していません。文章が読みにくいと

いくら気張って筆で書いたところで本末転倒、伝わらなければ意味がありませんからね。しかし、椿に師匠がご来店になり筆書きを見てくださってご指導をいただいたのですが、やはり作品としてのご指導になるわけです。全体的に墨の量が少ないので、滲みかすれで表現するドラマ性がないとの事でした。まぁその通りなんです。分かっているんですよぉ~!なんて言い訳したいのも山々でしたが、そこは師匠と弟子ですから、そんなことは言えません。


それにアタクシは書家ではなく、料理人で板前さんが本業です。とはいっても師匠はよくお稽古の時に「将来こんな字を書いてると書家だなんて恥ずかしくて言えないぞ」などと、作品の出来が悪い時には叱咤激励されました。うーん、板前さんなんですけど、師匠はそこまで熱意を持って指導してくれたのだなぁと有難く思います。


コースのお料理でも同じ事だと思うのです。先付、前菜から始まり、お刺身や焼き物、揚げ物、椀物など料理法は献立通りにいけば、同じお料理が続くことはありません。天ぷらの後にまた揚げ物とか出てこないってことですね。そして料理の方法だけでなく、なるべく素材もだぶらない方がよろしい。これには例えば「松茸づくし」とか「蟹づくし」なんていう例外もありますが。


そして、温度や器にも変化があるとお客様も楽しめますね。丸いお皿だけでなく四角や魚型とか、今でしたら紅葉型とか。夏でしたらガラスの器を一つくらい使うと良いでしょう。そして漆器。塗り物ですな。小さな吸い物椀でも茶懐石で使う大振りな煮物椀でも、前菜の盛り付けでも良いんです。塗り物は一つ入るだけで、会席料理の格ってものが上がります。これは間違いなく。付け加えて申し上げるならば、上質なお椀を四季で使えるように揃えてある料理屋はなかなかですね。もっと言うならば、お祝い用とか、逆にいつでも使える文様とかが揃っていればなおよろしい。



え?うちですか?えっと、春秋は小さな雲錦の椀、初夏には蛍と銀色の塗りの平椀、秋は秋草と紅葉、冬は椿、お祝いには鶴、そして入口の蔦をイメージしたお椀があります。ぜひ実物をご覧くださいね。



手前味噌は置いときまして、四季折々の素材をいかにもその季節らしく、そして美味しくお料理して美味しそうに見えるように盛り付けるわけです。決して奇をてらうでもなければ何かに媚びたり譲ったり、また素材に嘘をつくことなく。


書道の師匠である金山土洲先生は浜松市在住です。お稽古に行かなくなったとはいえお付き合いが無くなったわけではないので折に触れてご挨拶には伺っています。しかしながら、料理の師匠である東京目白の茶懐石「和幸」のご主人、高橋一郎氏はすでにご逝去されお店も閉店。和幸の卒業生は全国で活躍しています。いや、和幸では10年選手もいる中で、アタクシなんかは5年くらいしか在籍していませんし、加えてホントにお荷物クンで末席を汚していたって感じです。はい。もしご存命ならば、今のアタクシを見てどうご指導いただけるのか?とても厳しい師匠でしたので、このぐうたらぶりをご覧になると、一喝されるのは目に見えてます。焼津の温石、杉山元幸氏、そして和幸、高橋一郎氏の下での修業時代の懐かしい話、と言いますかアタクシの失敗談ばかりですが、いつの日かご披露しようかなとも思います。




今日もここまでお読みくださってありがとうございました。この次にお会いする時まで皆様にステキなコトがたくさん訪れますように。それでは、また。ごきげんよう。