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  • 鈴木ひでひと

「お客『さま』」

お疲れさまです。


12月になりまして一気に季節が変わったようで、どうも『令和ちゃん』はまだお天気のコントロールがいまひとつのようですな。甚大な被害をもたらすほどの大雨や、春や秋といった風情のある季節が短くなったような気がします。早く『平成』のお兄さんや『昭和』のおじさんに教わって自然災害が無いようにしてもらいたいものです。


お越しくださいましてありがとうございます。『令和』ちゃんの話はあくまでもネット上でのネタ話ですからね。急に変なコト言いだした、なぁんて心配しなくても大丈夫。

アタクシ、年中変なコト言ってますから、全くもって平常運転なのですよ。


さてさて。


少し前にジョブチューンというテレビ番組で、ロイヤルホストのパンケーキが名だたるシェフなどに評価され、酷評されたことが話題になりました。アタクシ、その番組は見たことが無いのですが、一流の料理人やフードコーディネーターさんなどが、ファミレスさんなどのお料理の合格不合格を判断するそうです。なんでも結構辛辣な意見もあるそうでウチのスタッフの中には、あまりの言い方に見ていて不快になる、とまで言う人もいます。ネットの情報には、高評価や丁寧なアドバイスもあるとのことなので、見ていない立場からすると、軽々に番組内容に口を出すものでは無いと考えています。


しかし、コレ、いろんな要素を含んでいるとも言えそうです。ネットの書き込みにはパンケーキの味を変えないで欲しいという声や、酷評したシェフのお店の口コミが炎上しているとかで様々な方面で影響が出ています。



これでアタクシ、思い出したのは修業時代と天宏に入ってからの事です。少しご紹介しますね。



以前もお話しましたがアタクシ、東京目白「茶懐石 和幸」で末席を汚していた時代があります。和幸は雑誌、テレビなどの取材の仕事も多く私たち若い料理人もテレビに出ることもありました。そこで、何の取材だったか失念しましたが、料理人の一日を密着取材なんてのがありました。主人である故高橋一郎氏、女将の故高橋和さま、そして私たちの一日です。

いかにもテレビだなぁと思ったのは、『店の玄関は主人自らが掃き清め、お客様を出迎えます』とか、2階から慌てて階段を下りてきて番組スタッフに『もうご主人は厨房でお仕事なさっていますよ』と言われたり。普段は若い子が掃除をしますし、厨房に入るのも私たちが先。自分たちの都合のいいように番組は作られるんだなぁと感じました。


二つ目は、これもテレビの取材で、丼物のお店の特集で茶懐石料理店で丼を頼めるか?なんていう流れだったと思います。テレビ制作側は「どんぶりなんて安物は和幸ではできない」

的な言い回しをおやじさん(和幸では主人のことをこう呼びます)に頼んでいました。しかし、おやじさんは「そんな言い方は丼ものでご商売しているお店に失礼になるので、言葉を変えたい」と言ってました。結局「どんぶりものを茶懐石の店に頼むのはお門違いじゃないですか?」のようなカンジに落ち着きました。この話を聞いて私たちは、やっぱりおやじさんはスゴイ人だなぁと改めてそのお人柄にも尊敬をし、一時私たちの中では「お門違い」がはやり言葉のようになったくらいでした。


最後はアタクシが天宏に戻ってからの事です。「磐田飲食組合」という同業者の組合組織があり、天宏も加入していました。飲食組合というのは幅が広く、スナックや居酒屋、和食、中華、洋食、喫茶店などが加入していて、私の父が役員をしていた頃は200軒ほどあったそうです。それも時代とともに減り、アタクシが出向く頃には50軒くらいになっていました。そこで何かあったわけではないのですが、天宏より規模が小さく、単価も低いお店のご主人が、必ず「お客様」と言ってみんなと話していました。「客」とか「お客さん」ではなく「お客『さま』」。


これはアタクシ、すごくいい勉強になりました。ともすれば天宏は「割烹料理店」で個室があり庭もある。どうしてもそれが表に出てしまいます。小さなお店や一杯飲み屋とは違う、そんな上に立っているような気持があったからこそ、この言葉ひとつが今でも残っているのだと思います。店の大きさや職種は違ってもお客様に対するおもてなしの気持ち、そして,

料理人の心というものは変わらないのだと教えていただきました。もっとも飲食組合の先輩方にはお酒の飲み方から、その席でモテる方法も伝授してもらいましたけどね。



かの番組に話を戻しましょう。


アタクシは、酷評した方々は制作側から依頼されていたのかな?とも感じています。お客様に喜んでいただくために、良い素材、良い環境、良い料理人で作りたいと願うのは一緒。


ですが、利益を上げる、スピードを上げる、価格の競争、その他の事で妥協しなければならない事もきっとあると思うのです。料理に携わっている人ならわからないはずは無い。

酷評している人には何か理由があるのかもしれません。もっとも理由があって欲しいと思っているのはアタクシの願望に他ならないのですが。


お客様にお料理をお出しして、ステキな空間でおもてなしをする。それにはもちろんお金がかかります。単価の安いお店でも決してゴミが散らかっていたり、身なりが不衛生な人が接客していることはごくまれです。星付きのレストランも、町の飲み屋さんも、外食のチェーンもスーパーマーケットもコンビニでも同じではないでしょうか?

自分たちが出来る範囲でお客様に気持ちよく過ごしてもらう空間作りをしているはず。その情熱には星付きだの、ファミレスだの区別はありません。



お料理についても同じです。美味しいものを作り美味しそうに盛り付ける、それこそが料理人の基本であるとアタクシは考えます。ワンコインのお弁当でも、高級寿司でも一緒です。

お値段が安くても相応の味があればお客様は喜んでくれるはず。天井無しの高価な素材で美味しいものを作るより、原価に制約がある中での「美味しさ」を作り出すことの方が何倍も難しい。


アタクシは、この番組の制作が「出演者の意見を誇張させている」と断言はできません。ただ、一料理人の思いからすると、どんなお店でもお客様の『美味しい!』のため、そして働いているお店のためにかける思い、同業者の情熱を卑下するような発言を、料理人自らがしてしまうのは信じたくないのです。




少し視点を変えてみましょう。


宣伝効果に目を向けると、この不合格になることも想定内で合格が多くなるより宣伝になる、と計算していたのかもしれません。合格多数より不合格が多くなれば擁護する声は必ず上がってきます。そうすれば、知れ渡っているお店の名前よりも、その商品、そしてファンがネットに書き込む良い情報もイメージアップに繋がります。アタクシもその書き込みで、ロイヤルホストのホスピタリティやパンケーキの懐かしい美味しさに興味を持った一人です。合格が多ければもちろん良い事ですが、不合格が多くても決してイメージダウンにはならないという事も計算ずくと考えるのは少しイジワルでしょうか?



少し頭を使い過ぎて疲れてきました笑笑



思う事を一気に書き、これが正解だとは思っていません。アタクシが体験した事、教わった事、この件で感じた事を綴りました。事実と異なる部分もあるでしょう。ご理解いただけますように。



今日もここまでお読みくださってありがとうございました。この次にお会いする時まで皆様にステキなコトがたくさん訪れますように。それでは、また。ごきげんよう。




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